ハードウェアの開発現況

中村隆生(満開製作所 企画グループ)


 今月もハードウェアの進捗状況をぬるぬるとご紹介していこうと思います。ご

紹介の順序は、今月から「順不同」になりました。ていうか、プロジェクト数が

多い上に、進捗状況がダンゴ状態なので、どの製品が先にできるか、担当者にも

分からないという恐ろしい状況になっています。

 なお、製品を必要としているお客様にすばやく情報をお届けするため、また、

生産数の目安にするために、早期に予約を取ることにしました。たとえば、予約

が 80~90 人ぐらいになるようであれば、100 台でなく 200 台作った方が良い、

という目安になると思います。

 というわけで、記事中に「予約受付中です」と書いてあるものについては(零

式計画とキットを除いてほとんど全製品ですが)、予価で予約を受け付けます。

予約者の皆さんには、価格が確定した時に改めてご案内します。

 ご予約を希望される方は、ご住所、お名前、電話番号、あればお客様番号(シ

ョップ満開の納品書の左肩に書いてある4桁の番号です)を、次のいずれかの手

段でショップ満開の登録係までお寄せ下さい。

・電話(03-3985-5530またはフリーダイヤル0120-88-7670)

・FAX(03-3985-5366)

・電子メール(shop@mankai.co.jp まで。@NIFTYの人はNIF00350)

・読者葉書の裏(ご予約の旨が分かりやすいように書いて下さい)

 ご予約受け付け中の商品については、価格が確定して納期案内を差し上げるま

では、入金はご遠慮下さい(予価から金額が変更になる可能性が高く、ご返金や

追加入金が発生するおそれがあるためです)。


■mach2p(MK-HA2P) 設計:中村 ●製品概要  SCSI-2 +メモリの複合ボードで、SCSI 部は旧 Mach-2 の設計を、メモリ部は XSIMM10ss の設計を踏襲しつつ、細々とした改良を加えています。  ただし X68030 ではメモリ部が使用できません。また、PRO/PRO2 では、バス マスタ転送が行えません。 ●進捗状況  第2次ロットは、2000年1月末発送と案内しておりましたが、なんとか守れる のではないかというところまで来ています。心配していた PRO での動作ですが、 今のところクレームはないので(1 件ありましたが解決しました)、少なくとも ソフト転送モードでは皆さんお使いいただけているようです。 ●予約状況  予約受付中です。価格は38,000円(税別)です。 ●量産版の基板写真 =非対応メニューです
■キットシリーズ 設計:中村 ●製品概要  現在、光DAI出力化キット MK-CC003 や ATX 電源接続キット MK-CC011 などを ラインナップに揃えているキットシリーズですが、新製品の企画が2グループあ り、製品化に近い方をシリーズ2、そうでない方をシリーズ3とカテゴリ分けし ています。シリーズ3のラインナップは次号でご紹介します。 ●進捗状況  シリーズ2の設計が完了し、現在のところ試作基板納入待ちの状態です。 途中まで進んでいます。また、MK-CC019 については MK-MJ2 の生産完了を受け て、すでに予約受け付けが始まっています。 ●シリーズ2のラインナップ: 型番 品名 状況 予価 MK-CC002 光・同軸変換キット 試作基板入荷待ち 未定 MK-CC005 アクセスランプキット 試作基板入荷待ち 未定 MK-CC014 リモコン送受信キット 試作基板入荷待ち 未定 MK-CC015 同期分離回路 試作基板入荷待ち 未定 MK-CC018 光DAI受信復調キット 試作基板入荷待ち 未定 MK-CC019 PS/2マウス接続キット 試作基板入荷待ち 4,800円 ●個別の説明 ▲MK-CC002 光・同軸変換キット  デジタルオーディオ機器の中には、デジタル端子が同軸しか装備されていない ものがあり、デジタルオーディオ信号(32kHz・44.1kHz・48kHz)をやりとりす る際、光端子と同軸端子の相互変換が必要になることがあります。  このキットはインタフェース変換のためのもので、光からの入力を同軸で出力・ 同軸からの入力を光から出力、の 2 系統の変換を 1 枚の基板で行うものです。 ▲MK-CC005 アクセスランプキット  パルス信号系にアクセスランプを付ける時に便利なキットです。あんまり速い パルスには対応できません。プレステのメモリカードにアクセスランプを付ける 時など、アイデア次第でいろいろと応用できます。 ▲MK-CC014 リモコン送受信キット  X680x0 でリモコン信号を送受信するためのキットです。回路的には Outside 68k で桑野さんが発表されたものを、受信部に改良したものです。ソフトは付い ていませんので、適当に用意して下さい。X680x0 側はジョイスティック端子に 接続して下さい。 ▲MK-CC015 同期分離回路  ビデオ信号またはコンポジット同期から、垂直同期と水平同期を分離するキッ トです。同期分離 IC には三洋の LA7213 を使用しています。 ▲MK-CC018 光DAI受信復調キット  MK-CC003 の逆で、光端子からデジタルオーディオ信号を復元します。DSP で オーディオ信号処理をしたい方などにお勧めです。MK-CC003と組み合わせると、 光デジタルオーディオ信号中継器ができます。 ▲MK-CC019 PS/2マウス接続キット  PS/2 マウスの信号を X680x0 のマウス信号に変換する装置です。ていうか中 身は MK-MJ2 そのままです。予価 4,800 円です。ケースは付きません。 ●予約状況  MK-CC019 についてのみ予価 4,800 円、あとは価格未定にて予約受付中です。 MK-CC019 についても、まだ価格計算が終わっていないため、若干高めの価格設 定になっています。ですから、これより安くなることはあっても、高くなること はありません。価格が確定したら、予約者には別途郵便でご連絡します。
■倍速スキャンコンバータ(MV-SC1) 設計:山内氏 ●製品概要  15kHz の映像信号を 31kHz の倍速に、また 63kHz の4倍速に変換する装置で す。NTSC 信号(ビデオや LD の映像信号)や、X680x0 の 15kHz 信号を、市販 のマルチスキャンモニタで見ることができます。  また、X680x0 用の画像取り込み端子を有していますので、高画質イメージユ ニットとしての応用も可能です。 ●進捗状況  試作基板が上がってきました。一部の部品実装が始まっていますが、まだ写真 が撮影できるほどには進捗していません。1月中には試作を終えたいと考えてい ます。第1次量産(50 台)を4月ごろに予定しています。 ●予約状況  予約受け付け中です。品種は1種類のみ(MV-SC1)の予定です。予価 148,000 円ですが、もしかすると価格が上がるかもしれません。具体的なこと(正式な価 格とオプションの価格)については、予約者には郵便でご連絡します。 ◎試作1号の基板写真 ◎試作1号を上から見た図
■PCカードドライブ(MK-PC1) 回路設計:大中氏 基板設計:中村 ●製品概要  X680x0 で PCMCIA 2.1/JEIDA 4.2 規格準拠の PC カードを読み書きするため のカードドライブです。拡張スロットに挿すタイプの制御基板と、別筐体のカー ドドライブ部から成ります。 ●進捗状況  回路図の入力は終わりました。現在、部品形状入力があらかた終わったところ で、これからアートワークに入るところです。2月ごろから試作に入りますが、 添付ソフト(PC カード用ドライバ)開発も同時に行うため、実際の発売は4月 ごろになるのではないかと思われます。 ●予約状況  予約受付中です。品種は1種類(MK-PC1)のみです。価格は改めてご案内しま す。カード部が別筐体になりますが、その価格がまだ出ていないため、価格がど うなるかまだ分かりません。5万円を超えることはないと思います。
■拡張スロットユニット 回路設計:桑野氏 基板設計:中村 ●製品概要  Xpander IV 相当の4スロット拡張ユニットです。TSR さんから出なかった、 X68030 版を優先して発売します。また、10/16MHz ツインタワー機用も同時発売 の予定です。 ●進捗状況  設計が完了しました。回路はほぼ共通ながら、コネクタや部品の違いから、次 の4機種に分かれることになりました。 MK-XU1-600 : X68000 元祖(予定)・ACE・EXPERT・SUPER・XVI 用 MK-XU1-500 : X68030 用 MK-XU1-300 : X68030 Compact 用 MK-XU1-674 : Compact XVI 用  外板を付けると値段が上がるため、すべての機種には外板が付属しません。む き出しの状態で使うことになります。  -600 と -500 の試作基板を1月7日に発注しました。1月下旬ごろには試作 を終え、量産に移行する予定です。-300 と -674 に関しては、まだ目処がたっ ていません。 ●予約状況  全機種(-600 / -500 / -300 / -674)予約受付中です。ご予約の際は、必ず 使用される機種名をご指定下さい。予価は未定ですので、改めてご案内します。 おそらく5万円を超えることはないでしょう。
■DSPボード 設計:松岡氏 ●製品概要  mp3 のコーデックを X680x0 でも現実的な速度で行おうということで開発中し ている DSP ボードですが、mp3 だけでなく他の用途にも使えるように、開発キ ットも添付する計画です。  DSP としては、モトローラの DSP56362 を採用、これを 100MHz 駆動して 100 MIPS を実現します。DAC・ADC にはバーブラウンの PCM1800E・PCM1716E を使用 し、96kHz オーディオにも対応します(ただし ADC は 48kHz サンプリングま で)。また光入出力端子を備えます。 ●進捗状況  中旬頃に基板発注を行う予定です。2月試作の線で進めていますが、添付ソフ トの開発に時間を取りますので、発売はやはり4月ごろになりそうです。 ●予約状況  予約受付中です。予価は未定ですので、決定次第、改めてご案内します。5万 円を超えることは絶対にありません。
■Venus-X 回路設計:井倉氏 基板設計:中村 ■Jupiter-X 原設計:森野氏 回路設計:井倉氏 基板設計:中村 ●製品概要  最初はハイメモリの企画でしたが、井倉将実氏設計の Venus 計画と統合する ことになり、060turbo の設計も引き継いで、060 版と 030 版の2通りを開発す ることになりました。L2 キャッシュ、SDRAM ハイメモリ、PCI バススロットを 備えます。030 版については、MC68030 を 50MHz 駆動することになります。  Jupiter-X はγ版のデバッグを一旦凍結し、Venus アーキテクチャに基づいた 再設計を行います。ただし、井倉氏の手元では、γ版が電源投入・電源断できる ところまで来ていますので、Venus-X の完成から遠くないうちに Jupiuter-X も 完成させることができるのではないかと思われます。  これらの統合により、Jupiter-X および Venus-X は、 ・X68000 ACE/EXPERT/SUPER 用は Jupiter-X(A)(MK-JX1A) ・X68000 XVI 用は Jupiter-X(X) (MK-JX1X) ・X68030 用は Venus-X (MK-VX1) という形式になります。この形式の後ろに、68060 版であれば -060 が、68030 版であれば -030 が付きます。また、L2 キャッシュはオプションとなり MK-LC1 という形式になります。  ですから、たとえば XVI の 68060 版に L2 キャッシュ付き Jupiter-X を付 けたい場合は、ご予約は ・MK-JX1X-060 ・MK-LC1 という組み合わせになります。 ●進捗状況  先月もお伝えしました通り、L2 キャッシュ部についてはすでに回路図が完成 しています。また、SD-RAM についてはハイメモリ計画としてすでに試作品が完 全動作しています。PCI 部についても内部論理が完成しています。今後、SD-RAM 部から DMA アクセスするためのオンボード DMAC を設計した上で、全体を通し て Venus-X の回路設計を早期(早ければ1月中)に行うことで合意に達してい ます。状況によりJupiter-X の試作にも着手します。ただし完成時期はまったく 未定です。 ●予約状況  価格は未定ですが、Venus-X においては 060turbo と同程度の価格に抑えるこ とができるのではないかと思われます。また、Jupiter-X については 178,000 円を予価として予約を受け付けます。価格は変更になる可能性が大ですが、予約 者には決定次第、改めて郵便などでご連絡します。
■3.5 インチ外付けドライブユニット MK-FD3 ●製品概要  まだあまり本格的には決まっていませんが、外付けのオートイジェクトドライ ブを満開製作所で製作することに決定しました。 ●進捗状況  仕様を固めている最中です。完成時期、価格ともにまったく未定です。 ●予約状況  まだ予約は受け付けておりません。
■九九式試製一型 回路設計:桑野氏 基板設計:中村 ●製品概要  弊社では独自のアーキテクチャを持つパーソナルコンピュータと、その上で稼 働する OS を製作する計画を有しており、「零式計画」と呼称し推進中です。  その試作機として、「九九式試製一型」を製作します。基本は、Qバス・SSバ ス・PCIバスをサポートするバックプレーンボードと、MPUを搭載したMPUボード からなります。なお、試製一型は開発者向け配布のために製作するものであり、 予約受付・販売の予定はありません。 ●進捗状況  基板の発注が終わり、試作基板納入待ちという状態です。 ●予約状況  まだ受け付けられる状況ではありません。 ◎九九式試製一型 MPUボードの基板CAD画面 ◎九九式試製一型 バックプレーンボードの基板CAD画面
 ご不明な点は読者葉書にお書きになるか、mailto:nakamura@mankai.co.jpまで メール下さい。次号の本欄に反映させます。 (EOF)